2025/09/07
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ネクステージが電子ペーパー「デジタルプライスボード」を導入した理由――総額表示義務化と業務効率化・顧客体験の再設計
目次
結論:制度改正への確実な適合と顧客体験の底上げを、電子ペーパーで同時実現
ネクステージは2023年9月、国内中古車業界で初めて(自社調べ)電子ペーパーを使った「デジタルプライスボード」の導入を開始しました。直接の引き金は、2023年10月1日に施行された中古車の「支払総額」表示の義務化です。諸費用が毎月変動するため、全展示車両の表示更新が定期的に発生します。電子ペーパーと遠隔一括更新の仕組みによって、膨大な差し替え作業を省力化し、視認性・正確性・環境配慮を両立。結果として、スタッフは接客や品質説明といった“顧客価値の高い仕事”に時間を振り向けられるようになります。
背景:総額表示義務化と「毎月発生する差し替え負担」という構造問題
支払総額表示の義務化で「更新頻度」が前提に
2023年10月の規約改正により、中古車の表示は「車両価格+諸費用=支払総額」を基本とし、内訳の提示が求められるようになりました。諸費用には自賠責や税の月割が含まれ、月替わりで額が動きます。よって、価格見直しの有無にかかわらず、店舗は最低でも毎月一度、全台の表示確認・更新が必要です。
物量の壁:全国で3万台超に及ぶ表示の差し替え
ネクステージの展示規模は全国で3万台超。紙のプライスボード前提では、印刷・裁断・ラミネート・差し替え・廃棄といった一連の作業が、店舗数と台数に比例して膨張します。人件費・用紙とインクのコスト、作業ミスや更新抜けのリスクまで含めると、「正確性と効率」を両立させるにはデジタル化が合理的な打ち手でした。
導入の狙い:透明性・効率・環境配慮をワンセットで達成
1. 価格の正確性と更新性:遠隔一括で“表示の最新化”を担保
値札を電子ペーパー端末に置き換え、ネットワーク経由で本部から価格と情報を一括配信。月次更新や臨時の価格改定、車検・税の反映もタイムラグなく反映でき、店舗間の表示ばらつきを抑制できます。紙の差し替えに伴うヒューマンエラーや掲示遅延も予防できます。
2. 視認性と省電力:屋外展示に最適化
電子ペーパーは反射型表示で直射日光下でも読みやすく、薄型・軽量・低消費電力が特長です。屋外・屋内を問わず視認性を確保し、電源や配線の制約を受けにくい点も採用理由の一つ。車内掲示でも熱や日照の条件に強く、常時点灯型ディスプレイに比べて電力負担を抑えます。
3. 作業負担の削減と接客時間の創出
全台の印刷・差し替えをやめることで、担当者の移動・掲示・確認に費やしていた時間を圧縮。創出された時間は、来店客のヒアリング、在庫案内、試乗・見積りの質向上に配分できます。「スピーディに正しい情報が出ている」状態は、購入検討の心理的ハードルを下げ、商談体験を滑らかにします。
4. 紙・インク削減による環境負荷低減
紙媒体の廃棄を削減できるため、コストだけでなく環境面でもメリットがあります。値札デザインや告知情報の差し替えもデータ更新で完了するため、店舗運営のサステナビリティを高めます。
仕組みと運用:データ一元管理×遠隔更新で“ばらつき”を抑える
データ連携の基本設計
車両マスタ(在庫管理)と表示テンプレートを紐づけ、本部側の管理画面から「支払総額」「車両価格」「諸費用内訳」「在庫ID」「販売店名」などの情報を配信。テンプレート改修も一括で反映でき、規約変更や注意書きの更新にも迅速に対応できます。

紙→デジタルで変わる作業フロー
項目 | 紙のプライスボード | デジタルプライスボード |
---|---|---|
月次更新 | 全台印刷・差し替え。人的負担大 | 本部から一括配信。店舗は掲示確認中心 |
臨時改定 | 都度再印刷・再掲示 | 即時更新。反映の時刻管理が可能 |
表記統一 | 店舗判断で表現ゆれが発生 | テンプレ統一で表記ゆれを排除 |
環境負荷 | 紙・インク・廃棄が常時発生 | 紙・インクの使用を大幅削減 |
事故防止 | 貼り忘れ・差し替え漏れのリスク | 配信ログで更新有無を可視化 |
販売ポリシーとの連動
同社は総額表示義務化に合わせ、「車両提案・販売におけるポリシー」を策定。価格と内訳の透明性、説明責任の徹底を方針化し、デジタルプライスボードでその実務運用を支えます。表示面の統一は、新人や異動者の教育コスト低減にもつながります。
効果と示唆:DXは「作業削減」だけでなく、信頼獲得の基盤づくり
来店体験の一貫性が“安心”を生む
店外の車両でも明るく読みやすい表示と、どの店舗でも同じ構成で見える価格・内訳は、利用者の不安を減らし比較検討を容易にします。「掲示=最新」という前提が保たれれば、商談での説明は本質的な価値(状態・整備・保証)に集中できます。
組織運営:本部主導の“正しさ”を店舗へ配信
月例の諸費用更新を忘れない、注意書きや規約の文言を全店で統一する──紙では難しかった“全店舗同期”を、配信とログで担保。監査や内部統制の観点でも有効です。
他社への示唆:ルール変更×現場負荷のときが投資判断の好機
制度改正は、現場に必ず新しい定常業務を生みます。負荷が顕在化したタイミングで、業務起点のDX(更新・可視化・統一)に踏み切ると、費用対効果が説明しやすく、現場定着も進みやすい──これが今回の導入が示す教訓です。
まとめ
ネクステージの電子ペーパー「デジタルプライスボード」は、総額表示義務化で不可避となった“毎月の全台更新”を、遠隔一括配信で解きほぐす解でした。視認性・省力化・環境配慮を一体で高め、価格表示の正確性と接客の質を底上げします。制度変更を梃子に、現場の定常業務を再設計した好例と言えます。
※注記:本文中の「業界初」は同社の自社調べに基づく表現です。また制度や導入概要の記述は公表情報(2023年9月の導入発表/2023年10月施行の総額表示義務化)に準拠しています。
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