2025/10/27

自動車コラム

マンションでEVはあり?導入可否と費用・合意形成をやさしく解説|2025最新版

マンションでEVはあり?導入可否と費用・合意形成をやさしく解説|2025最新版

結論:マンションでEVは「あり」。規約改正と補助金で現実解に

2024年6月の国交省「マンション標準管理規約」改正で、EV充電設備について決議要件の考え方がコメントに明記され、使用細則の整備も推奨されました。これにより、従来よりも導入の可否判断と合意形成が進めやすくなっています。また、経産省の充電インフラ導入補助金(執行団体:次世代自動車振興センター)が継続し、自治体の上乗せ補助も一部で用意されています。つまり、「法的な解像度」も「費用のハードル」も下がり、マンションでEVは十分“あり”。ポイントは「合意形成の型」「配線方式の選定」「費用分担と課金方法」の3つです。国土交通省 報道発表マンション標準管理規約経産省 充電インフラ補助金次世代自動車振興センター

導入の前提整理:どんな「使い方」を想定するか

自家用の普段使い(主に夜間200V)

最も一般的なのは、区画ごとに200V普通充電を敷設し、夜間に満充電を目指す運用。月間走行1,000km程度なら普通充電で十分賄えます。急速器は高コスト・高負荷のため、集合住宅では例外的です。

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共用数台でのシェア運用

利用者が少数の段階では、共用部に数台の充電器を設置して予約・課金で運用。将来的に利用者が増えたら区画別へ拡張できる配線方式を選ぶとムダがありません。

非常用・BCP連携(V2H/外部給電)

災害時の電源確保を意識し、V2Hや外部給電器まで視野に入れるケースも。補助金メニューが別枠で用意される年度があります(制度は毎年更新されるため要確認)。経産省 補助情報

配線方式と課金・管理の設計

主な配線方式の比較

方式概要初期導入のしやすさ拡張性向くケース
スポット配線必要区画に個別で幹線/子線を敷設◎(小規模から開始)△(増設時に追加工事)利用者が少なく試験導入したい
幹線一括+各区画分岐共用幹線を敷き将来分岐を前提に整備○(計画設計が重要)◎(順次区画増設が容易)中長期で利用者の増加を見込む
エネルギーマネジメント連携EMSで需要ピーク制御・台数最適化○(機器/設定が必要)◎(負荷分散/将来拡張に強い)世帯数が多くデマンド管理が必要

電力契約とデマンド管理

共用部受電の契約種別・契約容量の見直し、充電器の出力制御(例:同時充電台数や時間帯の制限)は、基本設計の肝。東京都などが公開するガイドラインは設計や安全面の参考になります。東京都 ガイドライン(PDF)

課金・原価回収の型

  • 従量課金(kWh課金/時間課金の併用)
  • 月額基本+従量の二部料金(管理手数料を含めやすい)
  • 非利用者負担ゼロ設計(初期費用・保守を利用者のみで賄う)

不公平感を避けるため、「非利用者の費用負担を極小化」する設計と、使用細則での明文化を。

合意形成:標準管理規約の「コメント」を活用する

現地調査・費用スキーム・規制決議

決議要件の考え方

2024年改正の標準管理規約コメントでは、EV充電設備の設置工事に関する決議要件の考え方が示され、工事の性質や規約の取り扱いに応じて普通決議/特別決議を使い分ける整理が明確になりました。多くのケースで、駐車場の付帯設備としての設置や使用細則の制定により普通決議で進められる余地があります(具体の判断は各管理組合で要確認)。国交省 発表資料標準管理規約(改正版)

合意形成の実務ステップ

  1. 理事会で「目的・対象区画・課金方法・費用分担」の素案を作る
  2. 居住者アンケートで需要と反対理由を可視化(結果は説明資料に反映)
  3. 現場調査(受変電容量・幹線ルート・耐火区画貫通の可否)
  4. 概算見積と配線図、補助金適合可否の確認
  5. 使用細則(予約/課金/マナー/故障対応/将来増設)を案文化
  6. 総会付議(決議要件の根拠を資料に明記)
  7. 工事監理・試運転・検収、運用開始後の利用状況レビュー

費用と補助金:国+自治体で実質負担を圧縮

国の補助(充電インフラ)

経産省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」は、共同住宅での普通充電器や関連工事を対象にし得るメニューを毎年度示します。年度・期ごとに公募枠や上限額、要件が変わるため、最新の公募要領を必ず確認しましょう。執行団体は次世代自動車振興センターです。経産省ページNEV(次世代自動車振興センター)

自治体の上乗せ例

市区町村によっては、集合住宅向けの上乗せ補助を用意。例えば船橋市では、国の補助対象機器であること等を要件に制度を案内しています(年度により変更あり)。船橋市:集合住宅用充電設備補助の要件

見積り時の注意

  • 将来の台数増を見込んだ幹線容量・ルート確保(「2期工事」を前提)
  • 通信・課金システムの運用コスト(クラウド利用料・保守費)
  • 避雷・防水・耐火貫通処理、保安規程との整合
  • 使用細則に連動した違反時のペナルティ設計(占有・充電完了後の長時間駐車など)

安全・品質:ガイドラインと検査で「事故ゼロ」を狙う

EVについて考えること

設計・施工で参照したい資料

運用でのチェックポイント

  • 料金改定ルール(電気料金や利用者数の変動に応じて見直し可能に)
  • マナー遵守(充電完了後の移動、予約キャンセル、ケーブル管理)
  • 停電・故障時の連絡フロー(管理会社・保守ベンダ・理事会)

よくある反対理由と対処法(短答)

「非利用者が損をするのでは?」

初期費・維持費は利用者負担を基本に、共用電気の転嫁は避ける運用で合意。原価と管理手数料を可視化し、不公平感を抑えます。

「将来ニーズが不透明」

まずは共用部に少数台導入→利用率を見て段階増設。配線は拡張前提で計画。

「安全が心配」

ガイドライン準拠の設計・第三者検査・定期点検を明文化。火災保険・施設賠償の適用確認も。

関連する外部リソース

国土交通省 報道発表:標準管理規約改正標準管理規約(改正版・資料)経産省 充電・充てんインフラ補助次世代自動車振興センター東京都ガイドライン(PDF)

まとめ

標準管理規約の改正で、EV充電は合意形成の型が取りやすい設備になりました。まずは「小さく始めて拡張」できる配線と、非利用者に負担を強いない課金設計、最新補助の活用が鍵。これで「マンションでEVはあり?」に、実務的に「あり」と答えられます。

 

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