2025/11/24
中古車販売
中古車市場の推移と今後|価格動向と戦略

目次
中古車市場の「いま」:価格は高止まりから緩やか調整へ
2022〜2023年にかけて新車供給制約や円安・海外需要で高騰した中古車価格は、2024年以降に一部調整が入りつつも全体では高止まりのレンジを維持しています。オークション落札データを指数化した「中古車市場価格指数」は、2008年7月=1.0を基準に2025年6月は2.182(前年同月比▲3.0%)と横ばい〜小幅安の局面(株式会社オークネット、2025年7月22日公表)。2025年9月分レポートも足元の横ばい感を確認でき、カテゴリ間で明暗が分かれています(同社 2025年9月公表)。
一方、小売寄りの指標としては、ポータル掲載物件の平均「支払総額」が2025年9月に173.6万円(前月比+1.6万円、前年比+9.3万円)と依然高水準(リクルート自動車総研 PRICE REPORT)。オークション側の動向を見ると、2025年9月の成約車両単価は130.3万円(前年同月比+5.1%)で、出品・成約台数は2桁増、成約率は70.3%と需給は引き締まり気味です(USS 月次データ)。
価格を動かす5要因:なぜ「高止まり+選別」なのか

1)新車供給の回復とモデルチェンジ波
半導体不足の峠を越えたことで新車の供給は正常化へ。モデル末期の在庫調整やフルモデルチェンジ前後の下取り流入が、ミニバンやコンパクトの一部で相場を押し下げる効果を持ちます。オークネット指数でもボディタイプ別でミニバン・コンパクトは弱含みが観測されています(前掲オークネット)。
2)円安と輸出需要
円安は海外バイヤーの購買力を強め、SUV・ピックアップ系や低年式高走行の輸出適合車を中心に底堅さをもたらします。2023年にはロシア向けの中古車輸出規制強化(2023年8月9日)もあり需給地図が変化しましたが、他地域向け需要が継続(JETRO)。
3)金利環境と購入力
日銀は2024年3月19日にマイナス金利を解除。短期金利は0.0〜0.1%誘導へ移行し、オートローンの実質負担にジワリ影響(野村證券の解説/JAF Mate)。結果として価格に“天井圧力”がかかり、年式・走行・状態が並の個体は値引き競争が起きやすい構造です。
4)表示ルールの厳格化(支払総額表示)
2023年10月1日施行の規約改正で中古車の表示は「支払総額」基準へ。諸費用の不適切計上はNGとなり、店頭/ウェブ/見積の不整合が抑制。買い手側の比較軸が揃って、相場の透明性が上がりました(自動車公正取引協議会/関連の消費者向け資料 国民生活センター)。
5)登録台数・ストック循環
中古登録は景気やフリート入替と連動。統計の読み方として、移転登録や名義変更を含む“登録台数”の動きが先行指標になりやすい点を押さえましょう(日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計)。
セグメント別:勝ち筋と弱含みの見取り図
| セグメント | 足元の傾向 | 要因 | 販促のツボ |
|---|---|---|---|
| SUV | 高値維持〜小幅安 | 輸出需要・残価意識 | 輸出適合グレードは早期提示/装備差を可視化 |
| ミニバン | 型落ちで軟化も | 新型移行の影響 | 整備履歴と内外装状態で差別化 |
| コンパクト | 横ばい〜弱含み | 流通増・値頃感 | 総額のわかりやすさと保証明示 |
| 軽自動車 | 地域差大 | 地場需要・輸送費 | 県内登録条件の総額訴求 |
| 高年式輸入車 | 選別色強い | 金利・維持費上昇 | 残価/整備計画の事前提示 |
2025年〜2026年の展望:相場は「二極化」が基本シナリオ
ベースシナリオ(確度:高)
- 全体相場:横ばい圏(±5%)での推移。指数は高原状態を維持(前掲オークネット)。
- 需給:オークション出品は増加傾向、成約率は高位安定(前掲USS)。玉不足感は薄れ、状態差・装備差の価格弾力が拡大。
- 店頭:支払総額の透明化で“実質価格”の競争。レビュー/保証/整備内容の明文化が成約決定要因に。

上振れ要因
- 円安長期化→輸出採算の改善でSUV/商用系の底上げ。
- 特定モデルの供給逼迫(電池や部材問題)→代替需要の再燃。
下振れ要因
- 金利の追加上昇→ローン負担増で小売需要が減速。
- 業者在庫の積み上がり→短期の換金売りで相場圧迫。
販売店・バイヤーの実務アクション
販売店向け:粗利を守る“3点セット”
- ダイナミックプライシングの導入:週次で店頭・ウェブ・在庫の価格を一括更新。指数とUSS成約単価の差をウォッチ。
- 「支払総額」の整備:諸費用は規約準拠のみ。店頭・サイト・見積の金額整合をログで証跡管理(自動車公取協)。
- 在庫ターンのKPI化:滞留30/60/90日で価格・広告・撮影を自動リフレッシュ。
仕入れ・バイヤー向け:落札率と回転率を両立
- “輸出向き規格・装備”の抽出(左H/排気量/耐塩害など)で高回転帯を確保。
- ミニバン・コンパクトの型落ちは、事故歴・修復歴の軽微さと内装コンディションで差益を狙う。
買い手(個人)の賢い見極め:総額・状態・資金計画
比較の軸は「支払総額」「整備・保証」「履歴」
価格表記は支払総額の内訳(車両価格+諸費用)を確認。諸費用に不適切な名目が混ざっていないかをチェック(前掲 自動車公取協/国民生活センター)。
資金計画:金利変動に備える
固定/変動の条件、実質年率と総支払額を比較。頭金と残価設定のバランスで毎月負担を適正化(前掲 野村/JAF Mate)。
一次情報リンク
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まとめ
中古車市場は2025年現在、指数ベースで高原状態、店頭は高止まり。円安・輸出で一部セグメントが底堅い一方、金利と新車回復で“選別”が進みます。販売店は総額表示の徹底と在庫ターン管理、個人は総額と保証・金利条件の比較で「納得の一台」に近づけます。
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