2025/11/17
コラム
世界の中古車市場|2025年の最新トレンドと勝ち筋

目次
世界の中古車市場はいま何が起きている?
新車価格の上昇、金利の高止まり、サプライチェーンの歪み、そして電動化の進展。こうした複合要因が「中古車を選ぶ合理性」を世界的に押し上げています。米国ではオンライン専業のCarvanaが2025年に過去最高の四半期売上・台数を記録し、欧州でもAUTO1 Groupが2024年に売上高63億ユーロと好調を示しました(参考:Carvana IR/AUTO1 Group)。一方で、EV(電気自動車)の中古相場は減価スピードや政策変更に敏感で、国・地域ごとにシグナルが分かれています(IEA Global EV Outlook 2025)。
マクロ動向:価格と在庫、そしてEV
新車の高止まりが中古需要を押し上げる
新車は関税・物流コスト・装備の高度化で世界的に高止まり。所得やローン金利の制約が強い市場ほど中古車への回帰が強く、米国・中南米・東南アジアで顕著です。主要都市圏ではリース・サブスク満了車の戻りが在庫のベースを作り、需要と供給が釣り合う局面では価格が安定します。
EV中古の「二極化」
IEAによれば2024年の世界EV販売は1,700万台超。新車の急拡大に対し、中古EVはバッテリー残存価値、充電環境、補助金の有無で相場が割れます。中国・北欧のように充電網と政策が整う地域は中古EVの循環が速く、米国や一部EUでは補助縮小や金利要因で相場が揺れやすい構図です(IEA)。
デジタル化の進展:在庫回転と粗利の両立へ
欧米の大手は、AI査定・ダイナミックプライシング・オンライン販売で在庫回転を高めています。日本でも「支払総額表示義務化」への対応とともに、価格・車両情報の一貫更新が重要に。現場では紙の棚札から電子棚札(ESL)への移行で、価格改定のリードタイム短縮とヒューマンエラー抑制が実現します(制度参考:自動車公正取引協議会)。
地域別の特徴とビジネスチャンス
| 地域 | 需要の主因 | 強い車種・動力 | 価格トレンド | 販路・留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 北米 | 新車高騰・金利高・オンライン購買の普及 | SUV・ピックアップ、PHEV増 | 高止まり→緩やか調整 | オンライン直販が強い。タイトル/履歴の透明性必須 |
| 欧州 | 排出規制と都市通行制限 | 小型ハッチ・ディーゼル減、BEV/PHEV増 | 地域差大(北欧強、南欧は価格センシティブ) | 保証・返品権など消費者保護が厳格 |
| 中国 | 新車EVのコスパ優位・大量代替 | BEV中心(A/Bセグ)、MPVも | 中古EVは回転速いが相場は政策依存 | 地域ごとにナンバー規制/補助の違い |
| 東南アジア | 所得伸長・金融包摂・配車需要 | 小型ガソリン、段階的にEV | 堅調。物流・税制を価格に転嫁 | 関税・中古輸入規制の確認必須 |
| 中東・アフリカ | 耐久消費財としての需要、港湾経由の再販 | SUV・セダン・商用、右ハンドル需要も | 為替・関税で変動大 | ドバイ経由の再輸出が要所。書類/検査が鍵 |
日本発の中古車輸出:どこへ、何が動く?
日本からの中古車輸出は、2024年の輸出台数が157万台超。仕向け上位はUAE、ロシア、モンゴル、タンザニア、チリなどで、右ハンドル需要国や再輸出拠点が目立ちます(出典:Japan Used Motor Vehicle(財務省統計ベース))。現地嗜好は国別に異なり、UAEは再輸出プールとして幅広い年式・パワートレイン、アフリカ東岸はSUV/ピックアップの堅調、モンゴルは寒冷地仕様・AWDへの選好が根強い傾向です。
輸出プレイヤーの実務ポイント
- 書類の正確性:船積み前に名義・走行距離・修復歴の整合を厳格管理
- 規制の最新確認:排ガス基準、年式制限、左/右ハンドル規制、検査要件
- 価格戦略:為替・海上運賃・現地関税を織り込んだ総額で競争力を確保
- 在庫回転:需要上位グレードに絞り、仕向けごとの「売れ筋SKU」を固定化
収益を最大化する実務:在庫・価格・オペレーション

在庫戦略:SKU設計と回転の両立
- SKUを「仕向け×用途×価格帯」で定義(例:UAE再輸出向け2.5LガソリンSUV/東アフリカ商用ピックアップ)
- 週次で売れ筋と滞留を可視化、30日・60日・90日でアクション(値下げ・販路切替)
- 代替・下取の受け皿を強化し、仕入れと販売の両面粗利を最適化
価格戦略:ダイナミックプライシングと総額表示
閲覧・問い合わせ・在庫日数・競合価格をスコア化し、粗利と回転の目標をレーン分け。店頭ではESL(電子棚札)で即時一括反映し、Web掲載と差異を作らないことが信頼につながります。日本国内では2023年10月以降の「支払総額表示」対応が必須です(制度解説:自動車公取協)。
販路戦略:オンライン×越境のミックス
- 国内:ポータル露出+自社LPで入電の質を上げる(来店予約・事前審査)
- 越境:仕向け国の現地ディーラーと在庫シェア、港前展示やドバイ経由の再販で回転を加速
- 欧米型:在庫の360°可視化/返品ポリシー/延長保証で購入障壁を下げる(参考:Carvana IR)
2025年の注目トレンド(チェックリスト)
- EV中古の相場:補助金・充電網・電池保証の有無で「売れる/売れない」が二極化(IEA)
- 欧州・英国の環境規制:都市ごとの走行制限が在庫価値に直結、排ガス基準適合の確認を徹底
- プライス運用:リアルタイム更新・総額整合・返品/保証の明文化でCVR改善
- 日本発輸出:UAE・アフリカ向けの堅調続く。ロシア・モンゴルは通関/制裁・物流の変化に注意(仕向け政策の随時確認)
導入現場で効くミニ手順:価格改定を「日次運用」に落とす
- 在庫を「30/60/90日」の棚で可視化(ダッシュボード)
- 週次のKPI:在庫日数中央値・粗利率・問い合わせ率・広告費/台
- 日次の運用:回転遅延の車両を3%刻みで調整→ESLで店頭とWebを同時更新
- 月次の見直し:「売れ筋SKU」定義をアップデート→仕入指示に反映
関連記事
まとめ
中古車市場は「新車高と金利」「EVの成熟」「デジタル運用」の三点で構造的に拡大。2025年は地域差が大きく、在庫と価格の運用力が勝敗を分けます。総額表示の徹底とデジタル更新で信頼を積み上げ、仕向け別のSKU最適化で回転と粗利を同時に取りにいきましょう。
Posts by Topic
- DX(9)
- イベント(4)
- お知らせ(9)
- コラム(9)
- ダイナミックプライシング(2)
- プライスボード(5)
- 中古車販売(11)
- 導入事例(1)
- 未分類(6)
- 法令対策(7)
- 自動車コラム(13)
- 自動車ニュース(5)
- 電子ペーパー(7)
- 電子棚札(9)
おすすめ記事
- 中古車の代金トラブル急増|安全な販売店の見分け方と対策
- 【スマホ対応】「お車価さま」i OS(iPhone)アプリ版が登場しました!
- 残クレとは?仕組み・メリット・注意点を図解でやさしく解説【リースとの違いも】
- 【API連携開始】お車価さま × JOCAR で車輌情報の自動同期を実現!
- 【保存版】地域キーワードで月間問い合わせを1.5倍にした中古車店のSEO完全ガイド
新着記事

