2025/10/20
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EUのEV・自動車規制の最新動向|Euro7・2035年ゼロエミ・充電網・電池規則を総まとめ

目次
結論:EUの要点は「2035年ゼロエミ」「Euro7」「充電網AFIR」「電池規則」「資源法」「ELV案」
EUは乗用車・小型商用車の2035年ゼロエミ化(新車CO₂排出100%削減)を中核に、Euro7で排ガス・ブレーキ粉塵・タイヤ摩耗・バッテリー耐久を管理、AFIRで充電・水素インフラの義務配備、電池規則で電池パスポート/再生材含有/デューディリジェンスを課し、CRMAで重要鉱物の自給強化を図っています。トラック・バスのCO₂基準も強化され、2040年に新型車平均90%削減が要求されます。さらに車両設計・廃車(ELV)規則案が審議中で、循環経済対応が進みます(法令・一次情報は末尾の外部リンク参照)。
2035年ゼロエミ:新車のCO₂を100%削減(乗用・小型商用)

規制の骨子
- 根拠:Regulation (EU) 2023/851(2019/631の改正)。
- 目標:2030年に乗用車-55%、小型商用-50%(基準年2021)、2035年に両セグメント100%削減。
- 注目:燃焼エンジン車は基本的に新車販売不可。ただしe-fuel専焼車の枠組みは政治合意済み(運用細則は今後の実装に依存)。
実務ポイント
- BEV比率引き上げが前提。PHEVは2030達成のブリッジとして合理化を。
- WLTPに基づく排出計測・メーカー別上限管理を再確認。
Euro7:排ガスだけでなく「ブレーキ粉塵・タイヤ摩耗・電池耐久」を規制
最終採択内容と適用時期
EU理事会の公式リリースによれば、Euro7は乗用・LCVの排ガス限度はEuro6相当を維持しつつ、固体粒子の要件強化、ブレーキ粉塵・タイヤ摩耗限度と電池耐久要件を新設。適用タイムラインは概ね以下:
- 新型の乗用・LCV:公布後30か月、新車全体:42か月。
- 新型のバス・トラック・トレーラ:48か月、新車全体:60か月。
なぜ重要?
- BEVでもブレーキ粉塵はゼロではないため、回生ブレーキ+低粉塵パッド設計が必須。
- タイヤ摩耗は騒音・微粒子の観点で技術最適化(配合・パターン・空気圧管理)。
- 電池耐久の下限は残価・保証戦略に直結。設計寿命と保証表記の整合性を確保。
インフラ:AFIRで「充電・水素」を国別に義務化
AFIR(Regulation (EU) 2023/1804)は2024年4月適用。要点は、
- 国別に公開充電出力の最低容量(BEV1台あたり1.3kW相当等)を義務化。
- TEN-T幹線・補完ネットワークに距離ベースの急速充電(HDV含む)を設定。
- 水素はTEN-Tで200kmごとに水素ステーション、都市ノードにも最低1か所。
- 支払い方法の標準化(タップ決済等)、価格表示の透明化を義務付け。
実務上は、販売・アフター網、社用車・配送車の拠点充電計画、ユーザー体験(決済・料金表示)改善が不可欠です。
電池規則(2023/1542):電池パスポート・再生材含有・デューディリジェンス
何が変わる?
- Regulation (EU) 2023/1542が2024年2月以降順次施行、2025年8月に旧指令を完全置換。
- 電池パスポート:EV電池は2027年2月からQRで炭素足跡・由来・リサイクル率等を可視化(報道参照)。
- 再生材含有(初期目安):コバルト16%、鉛85%、リチウム6%、ニッケル6%(2031年時点の最低含有比;今後見直しあり)。
- デューディリジェンス:サプライチェーンの人権・環境リスク管理(一定規模企業に義務)。
対応の勘所
- 電池BOMトレーサビリティと再生材の計量・宣言手順を整備。
- パック交換・リユース・リサイクルの逆物流を販売網と統合。
- 委任・実施規則(例:2025/606)の計算・検証手順に準拠。
資源・商用車:CRMAとトラック・バスCO₂規制、そしてELV規則案
CRMA(重要原材料法)
European Critical Raw Materials Actは2030年目標としてEU需要の採掘10%・加工40%・リサイクル25%を域内で確保、単一国依存を65%未満に抑制。EV電池の上流確保と調達多角化がカギ。
HDV(トラック・バス)のCO₂基準
Regulation (EU) 2024/1610により、2030年-45%、2035年-65%、2040年-90%(2019年比)などを設定。都市バスは2035年ゼロエミが事実上の方向性(理事会・議会資料参照)。物流・公共交通はゼロエミ車導入の前倒しが現実解。
ELV(廃車・循環)規則案
2023年公表の車両設計・廃車管理(ELV)規則案は、設計段階からの循環性要件や再生材の使用、車両パスポート等を提案。2025年には理事会の合意形成が進み、今後議会との最終調整へ(一次情報:COM(2023)451、解説資料:ECプレス)。
主要スケジュール早見表

| テーマ | 要点 | 主な期日 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 乗用・LCV CO₂ | 2035年ゼロエミ(新車) | 2030:-55%/-50%、2035:-100% | 2023/851 |
| Euro7 | 排ガス+ブレーキ粉塵・タイヤ摩耗・電池耐久 | 乗用新型30か月/新車42か月 等 | Council PR |
| AFIR | 充電・水素の義務配備/決済標準化 | 2024年4月適用、2025/2030に段階目標 | DG MOVE |
| 電池規則 | 電池パスポート/再生材/DD | 2027年2月パスポート、2031年再生材下限 | 2023/1542 |
| HDV CO₂ | トラック・バスCO₂強化 | 2030:-45%、2035:-65%、2040:-90% | 2024/1610 |
| CRMA | 重要鉱物の域内確保 | 2030:採掘10/加工40/リサイクル25% | EC |
| ELV案 | 循環設計・再生材・車両パスポート | 2025年以降に最終化見込み | COM(2023)451 |
日本の自動車・販売現場への示唆
- 中古EVの価値づけ:電池耐久(Euro7)・電池パスポート(電池規則)で査定軸が明確化。SOH表示や交換履歴の透明化が重要。
- 仕入れ・整備:ブレーキ粉塵・タイヤ摩耗対策、回生協調の点検手順を標準化。
- 店舗運営:AFIRに合わせた決済のわかりやすさ・料金透明性がEUユーザー期待値に。訪欧顧客や輸出対応で示すべきUI基準に。
- サプライチェーン:CRMA・電池規則に沿った原材料・再生材のトレーサビリティ、EPR(拡大生産者責任)対応の逆物流設計。
参考リンク
- 乗用・LCV CO₂:Reg. 2023/851/EC気候総局
- Euro7:EU理事会
- AFIR:DG MOVE
- 電池規則(+実装):Reg. 2023/1542/2025/606(リサイクル検証手法)/EC環境総局
- HDV CO₂:Reg. 2024/1610(理事会解説:PR)
- CRMA:欧州委「重要原材料法」
- ELV規則案:COM(2023)451(提案)
関連記事
まとめ
EUは2035年ゼロエミ(乗用・LCV)を軸に、Euro7で非排気粒子や電池耐久も管理、AFIRで充電・水素を義務配備、電池規則でパスポート・再生材・DDを必須化。CRMAで上流確保、HDV CO₂も2040年-90%へ。ELV案で循環設計が前進。日本の事業者は電池トレーサビリティ、整備基準、顧客UI、逆物流を一体で設計すると対応が早く確実です。
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